Classiques japonais avec furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Lisez 狂い凧 (くるいだこ) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 111 430 caractères · 226 écrans
あれがあるからこそ、わしらは安心して死ねるのだ」
「兄さん。そう勝手に押しつけては困るよ」
福次郎は低い声で答えた。
「も一度当人の考えも聞いて見なけりゃ」
他人の都合や思惑で自分の家族の進退を決められることは、いくら小心な福次郎にとっても、心外なことである。しかし校長に対する時と同じく、結局福次郎は折れた。外部の圧力に屈したわけでなく、城介がそれを承諾したからである。
こうして城介は上京して、葬儀屋の見習いとして奉公することになった。
上京する前夜、城介を送るささやかな送別会が開かれた。招かれもしないのに、幸太郎は酒や海産品を手土産にしてやって来た。れいのように、案内も乞わず入って来て、床柱を背にして、大あぐらをかいた。上座にいた城介は、自然追いやられるような形で、次の座にすべり落ちた。
「何だ。もう始めおったのか」
土産物を床の間に置き、幸太郎は言った。
「城介。あちらに行っても体に気をつけて、しっかりやるんだぞ」
すでに酒の気が入っているせいか、幸太郎は割に好機嫌であった。時々冗談を言って、家中にひびき渡る高笑いをした。自分の言い分が通ったから、好機嫌になったのではない。