Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

Lisez 狂い凧 (くるいだこ) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 111 430 caractères · 226 écrans

Aozora Bunko

「なるほど」

「そうだと返事を出すと、折返し手紙が送られて来た。写真が同封してあった。これがそれだ」

栄介はその古封筒を逆さにした。一枚の小さな写真が出て来た。私はそれを受取った。

写真の色は褪せていた。真中に木の墓標が立っている。

〈故陸軍衛生曹長矢木城介之霊〉

と、辛うじて読めた。墓標の周囲には短い草がところどころ生え、背景は茫々として何もない。地平と空との境もさだかでない。花も咲かず、鳥も飛ばない荒涼たる風景の中に、その墓標はぽつねんと立っていた。

「ここはどこだね?」

「厚和という街の城外だ。昔は綏遠と言ったらしいんだがね。蒙古地区だよ」

「殺風景なところだねえ」

私は写真を返しながら言った。

「もっとも城介君は、花や自然にほとんど興味を持っていなかった。その点では、淋しくなかろう」

いつだったか、私がまだ学生の頃、城介がやって来た。包みからごそごそと花を取出した。ほんものの花でなく、造花である。

「どうしたんだね」

と私が聞くと、

「うん。兄貴の部屋、あんまり飾りっけがないんでね、うちからそっと持ち出して来てやったのに、留守なんだ。あとで兄貴に渡して呉れないか」