Classiques japonais avec furigana
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きょうかしあかちょこべえ
狂歌師赤猪口兵衛
夢野 久作
Lisez 狂歌師赤猪口兵衛 (きょうかしあかちょこべえ) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 418 caractères · 79 écrans
「エライッ……」
と赤猪口兵衛が両手を打合わせて立佇まった。口をアングリと開いて良助の顔を見守った。
「さすがは良助どんじゃ。あの若侍に目が付いたか」
「眼が付かいで何としょう。縦から見ても横から見ても土地侍とは見えぬ人体じゃもん」
「うんうん。上方風の細折結に羽二重の紋服、天鵞絨裾の野袴、二方革のブッサキ羽織に、螺鈿鞘、白柄の大小、二枚重ねの麻裏まで五分も隙のない体構え。あれで算盤弾くかと思われる筋骨逞しい立派な若侍じゃ。何処とのう苦味走ったアクの利く眼の配りは大阪役者なら先ずもって嵐珊吾楼どころ……と言うあの侍じゃろう」
「ウン。それそれ。あの侍が蔵元屋へ出入りするようになってから、今まで口八釜しゅう娘の婚礼仕度の指図をしておった継母が、何とのう気の抜けたようになった。晴れ晴れしゅう進んでおった蔵元屋の祝言の支度が、いつからとものうダラダラになって来た。鼈甲屋や、衣裳屋、指物屋なぞの出入りが間遠になって来たのは、どうも怪訝しいと言う近所界隈の取沙汰じゃ……吾々もドウモそこいらが臭いような……事件の起りはその辺ではないかと言いたいような気持がするが、それから奥の深い事情が一つも判然らんけに困っとる。