Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ねことしょうぞうとふたりのおんな

猫と庄造と二人のおんな

谷崎 潤一郎

Lisez 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 020 caractères · 131 écrans

Aozora Bunko

だからリリーが晩飯の後でぶらつきに出かける習慣を、今も改めないでいるものとすれば、ひょっとしたら彼処で会えるかも知れない。そう云えばリリーは、食後に草の生えている所へ行って、青い葉を食べる癖があるので、尚更あの空地は有望な訳だ。―――そんなことを考えながら、甲南学校前あたり迄やって来ると、国粋堂と云うラジオ屋の前で自転車を停めて、外から店を覗いてみて、主人がいるのを確かめてから、

「今日は」

と、表のガラス戸を半分ばかり開けた。

「えらい済んまへんけど、二十銭貸しとくなはれしまへんか。」

「二十銭でよろしおまんのか。」

知らない顔ではないけれども、いきなり飛び込んで来て心やすそうに云われる程の仲やあれへん、と、そう云いたげに見えた主人は、二十銭では断りもならないので、手提金庫から十銭玉を二つ取り出して、黙って掌へ載せてやると、直ぐ向う側の甲南市場へ駈け込んで、アンパンの袋と筍の皮包を懐ろに入れて戻って来て、

「ちょっと台所使わしとくなはれ。」

人が好いようでへんにずうずうしいところのある彼は、そう云うことには馴れたものなので、「何しなはんね」と云われても「訳がありまんねん」