Classiques japonais avec furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Lisez 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 020 caractères · 131 écrans
てしまいそうに思えた。そして動物を手なずけるには、自分のように性急にしてはいけないのだと知りながら、何とかして食べるところを見届けたさに、無理に窓際から引き離して、部屋のまん中へ抱いて来て、食べものの上へ順々に鼻を押しつけてやると、リリーは脚をバタバタやらして、爪を立てたり引っ掻いたりするので、仕方がなしに放してしまうと、又窓際へ戻って行って、小裂箱の上へ登る。
「リリーや、これ、これを見て御覧。ここにお前のいっち好きなもんあるのんに、これが分らんかいな。」
と、此方も依怙地に追いかけて行って、鶏の肉だの牛乳だのを執拗く持ち廻りながら、鼻の先へ擦り着けるようにしてやっても、今日ばかりはその好物の匂にも釣られなかった。
これが全く見も知らぬ人に預けられたと云うのではなし、兎も角も足かけ四年の間同じ屋根の下に住み、同じ竈の御飯をたべて、時にはたった二人ぎりで三日も四日も留守番をさせられた仲であるのに、あんまり無愛想過ぎるではないか。それとも私にいじめられたことを今も根に持っているのだとすれば、畜生の癖に生意気なと、つい腹も立って来るのであったが、ここでこの猫に逃げられてしまったら、折角の計劃が水の泡になった上、蘆屋の方でそれ見たことかと手を叩いて笑うであろう、もうこの上は根較べをして、気が折れて来るのを待つより外