Classiques japonais avec furigana
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たまつきばのいちぐう
球突場の一隅
豊島 与志雄
Lisez 球突場の一隅 (たまつきばのいちぐう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 111 caractères · 29 écrans
その葉には雨の露がまだ一杯たまっていた。でも空は綺麗に晴れて星がきらきらと輝いていた。星の光を見ていると、雨に清められた夜の空気が胸に染み込んでくるような気がした。
暫くするとおい! と肩を叩かれたのでふり返ると、村上が立っていた。
「どうしたい。」
「散々まかされちゃった。」
女はまだ球を突いていたが、おしまいに失礼と云いながら突き切ってしまった。
「さあも一度いらっしゃいよ。」
「もう止しだ。」
「負け腹を立てるなんか柄でもないわ。ねえ松井さん。」と女は睨むような眼付をした。
「おいおい、」と村上は口を入れた。「勝った時にはも少し口を慎むものだよ。」
「その代りに何か奢りなさいよ。」
「そうだねえ……何でも御望み次第。」
「懐の御都合次第。」と女は村上の調子を真似ながら笑った。
「おそば……はどうだ。」
「それから?」
「何がさ?」
「それから麦酒というんでしょう。」
「いや今日は飲まない。それともおたかさんが半分助けてくれるというんなら、そしてついでにお金の方もね。」
「それこそ占いだわ。」
それをきいて松井も思わず微笑んだ。
「何が占いだ。」
「例の君の占いさ。」と松井が云った。