Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りそうのおんな

理想の女

豊島 与志雄

Lisez 理想の女 (りそうのおんな) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 38 162 caractères · 77 écrans

Aozora Bunko

若者は煙草に火を吸いつけると、その煙草をすーっと吸い込みながら、「うー、」と長く引いた音を喉から出した。私が黙っていると、彼はまた「うー、」と云った。私は嫌な気がしてふいと立ち去った。後ろから、「うー、」という唸り声が追っかけてきた。私は足を早めた。

暫く行ってふり返ると、もう其処には誰も居なかった。

然し、その盲目的な唸り声が、いつのまにか私の心にはいり込んでいた。私は「うー、」と唸ってみて、自分でも喫驚した。そしてその後で、妙にぽかんとしてしまった。何かに憑かれてるような自分を見出した。街路をやたらに歩き廻りながら、「うー、うー、」と心で唸ってみた。何だか可笑しかった。と同時にまた、自分が顔が今にも泣き出しそうに歪められてるのを、私は意識していた。どうにもならなかった。どん底まではいり込まなければ承知出来ないような気がした。

私は或る料理店へよって、酒を飲んだ。無理に酔っ払おうとした。女中の口先に乗ってうつかり菊代を名指してしまった。菊代というのは、私が市内を彷徨してるうちにいつしか顔馴染になった妓で、一二度機会があったにも拘らず、私は深入りするのを避けていたのだ――秀子のために。