Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lisez 生々流転 (しょうじょうるてん) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 297 521 caractères · 586 écrans
ではおやすみなさいと言う嘉六の言葉を後にしてわたくしは自分の部屋だった二階へ上って来ました。
なるほど古トランクが一つ、旅館のペーパーがところ/″\貼ってあるスーツケースが大小二つ、電灯の下に見出されました。それらが座敷に敷いてある往時父が眠くなるとその端を取って葉巻虫のように身体に巻きつけて寝たという紺の毛艶の端の上に載っています。
床の違い棚に置いてある父の遺物の二三冊の法令書は片隅へ寄せられ、そこには浄瑠璃本と娯楽雑誌が散らばっています。白耳義製のウヰスキーのセットはあらぬ座敷の片隅に下されて、私が見覚えてから十年あまりの歳月、少しずつ蒸発しながらまだ半ば近く残っていた父の飲み残しの懐かしい粟色の液体はすっかり空になっていました。長押に衣紋かけで釣り下げられている下町風な柄の洋服と商人風の羽織。「穢されたものだ」わたくしは怒りに眠たさも覚めてしまいます。家の間都合から自然と父の部屋が自分の部屋になったとのみ思っていたこの棲家も、今、思ってみれば内心、物の置きどころ一つ替えず、娘ごころに護り続けていたのでありました。いじらしいわが心。わたくしは父よりもわたくし自身穢されたような気がして、スーツケースの横腹を白足袋の趾尖で蹴りつけます。