Classiques japonais avec furigana
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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
Lisez 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 91 598 caractères · 182 écrans
中には多数の人家や、小ぢんまりとした牧場や、花園や畑や田や売店や、居酒屋さえも出来ていた。
で、朝夕炊煙が上って、青々と空へ消えもすれば、往来で女達が喋舌ってもいれば、居酒屋で男達が酔っぱらってもいれば、花園で子供達が飛び廻ってもいれば、田畑で農夫達が耕してもいた。
が、ここに不思議なことには、盆地の中央に一宇の伽藍が、森然として立っていることであって、その形は小さかったが――と云って二十間四方はあろうか、様式がこの上もなく異様であった。とは云え伽藍の本当の姿は、その伽藍をこんもりと取り巻いている、巨大な杉や桧に蔽われて、見て取ることは出来なかった。が、真鍮色の天蓋形の、伽藍の屋根が朝日や夕日に、眼眩めくばかりに輝いて、正視することさえ出来ないように、鋭い光を反射して、そのため鳥の群がそこへばかりは、翼を休めて停まろうとさえしない。――と、云うほどにも神々しい屋根が、人々の眼に見てはとれた。
曠野の方へ漫歩して行く、女の群はその伽藍から、どうやら揃って出て来たらしい。
その群は今や丘の斜面を、上へすっかり上り切って、丘の頂きへ姿を現わした。
十二人の処女らしい娘達に、守護されながら歩いている乙女の、何という美しく健康で、快活で無邪気であることか! 身長も高ければ肥えてもいる。