Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たはらしのはんざい

田原氏の犯罪

豊島 与志雄

Lisez 田原氏の犯罪 (たはらしのはんざい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 957 caractères · 57 écrans

Aozora Bunko

そういう時みよ子は、涙ぐんだように眼を円く見開いて相手の顔をじっと仰いだ。そして黙ってお辞儀をした。

「悪に対しては常に抵抗しなければいけない、そして善は常に保護しなければいけない。」それが重夫の信条であった。そして彼にとっては、徳蔵は悪であり、みよ子は善であった。

重夫は屡々みよ子のことを父に話した。

「この次には小遣を少しやりましょう。」と彼は話の終りによく云った。

「それがいい。」と田原さんは答えた。

然しそんな時田原さんはいつも重夫から眼を外らして、そして苛ら苛らしたような表情を示した。

心持ち眉根を寄せて半ば口を開いているその横顔は、或る不安なものを重夫の心に伝えた。

重夫は心のうちで思った。「父は常に悪に対する善意の解釈のみを事としている。善そのものは父の何等の興味をも引かないんだ。」

重夫のその心持ちが田原さんにははっきり分っていた。そして田原さんは益々苦々しくなった。

田原さんにとっては重夫の考えている問題は問題ではなかった。それでは何が問題か? それには何も答えられなかった。田原さんは書斎に上ってみたり、散歩をしてみたり、それからまた毎日午前中は神保町の店に通った。