Classiques japonais avec furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lisez 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) de 田山 花袋 (たやまかたい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 097 caractères · 312 écrans
って、あたりがしんとしていた。
清三は大和障子をがらりとあけて中にはいった。
年のころ四十ぐらいの品のいい丸髷に結った母親が、裁物板を前に、あたりに鋏、糸巻き、針箱などを散らかして、せっせと賃仕事をしていたが、障子があいて、子息の顔がそこにあらわれると、
「まア、清三かい」
と呼んで立って来た。
「まア、雨が降ってたいへんだったねえ!」
ぬれそぼちた袖やら、はねのあがった袴などをすぐ見てとったが、言葉をついで、
「あいにくだッたねえ、お前。昨日の工合いでは、こんな天気になろうとは思わなかったのに……ずっと歩いて来たのかえ」
「歩いて来ようと思ったけれど、新郷に安いかえり車があったから乗って来た」
見なれぬ足駄をはいているのを見て、
「どこから借りて来たえ、足駄を?」
「峰田で」
「そうかえ、峰田で借りて来たのかえ……。ほんとうにたいへんだったねえ」こう言って、雑巾を勝手から持って来ようとすると、
「雑巾ではだめだよ。母さん。バケツに水を汲んでくださいな」
「そんなに汚れているかえ」
と言いながら勝手からバケツに水を半分ほど汲んで来る。
乾いた手拭いをもそこに出した。