Classiques japonais avec furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lisez 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) de 田山 花袋 (たやまかたい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 097 caractères · 312 écrans
井戸端などで母親に容体を聞くと、「どうも少しでもいいほうに向かってくれるといいのですけれど……」と言って、さもさも心配にたえぬような顔をした。
肺病だろうということは誰も皆前から想像していた。「どうも咳嗽の出るのが変だと思ってました」と隣りの足袋屋の細君が言った。「どうも肺病だッてな、あの若いのに気の毒だなア。話好きなおもしろい人だのに……」と大家の主人も老妻に言った。「一人息子をあれまで育てて、これからかかろうという矢先にそんな悪い病気に取っつかれては……」と老妻はしみじみと同情した。あっちこっちから見舞いを持って行くものなどもだんだん多くなる。大家の主人がある日一日釣って来た鮒を摺り鉢に入れて持って行ってやると、めずらしがッて、病人はわざわざ起きて来て見た。それから梨を持って来るものもあれば林檎を持って来るものもある。中には五十銭銀貨を一つ包んで来るものもあった。
転任のむずかしいこと、たとえ転任ができても、この体では毎日の出勤はおぼつかないということがしだいに病人にもわかってきた。かれは郁治にあてて、病気で休んでいれば何か月間俸給がおりるかということを父の郡視学に聞いてもらうように手紙を書いた。