Classiques japonais avec furigana
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しんようどうき
申陽洞記
田中 貢太郎
Lisez 申陽洞記 (しんようどうき) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 175 caractères · 11 écrans
李生は番兵に随いて往った。そこに二重門があって、それを入ると錦繍の帷をした室があって、その真中に石の榻を据え、その上に大きな老猿が仰向けに寝てうんうんと唸っていた。榻の傍には三人の綺麗な女が腰をかけていた。
「あれにいらるるが大王であらせられる、早くお前の持っておる霊薬を差しあげてくれ、お前のことをお聞きになって、大王も非常にお喜びになっておられる」
番兵はこう言って李生の顔を見た。そこで李生は大王の方へ向って拝をしてから進んで往った。
「お創を拝見いたします」
大王は返事の代りに唸り声をたてた。傍にいた女の一人が傍へ寄って創を捲いている布をそろそろと解いた。毛もくじゃらの臂に血の生々した創があった。李生は近々と寄って往ってその創のまわりに指を触れた。
「私の持っておる薬は、仙薬でございますから、病をなおすばかりでなく、年も取らなければ死にもいたしません、こんな創ぐらいは、一度に癒ってしまいます」
大王はまた唸り声を立てた。李生は腰の皮袋をはずしてその中から石綿に浸した薬液を取りだし、その小部分を撮みとって大王の一方の手へ乗せた。
「これをさしあげます」