Classiques japonais avec furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lisez 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 507 caractères · 291 écrans
狭い屋敷であるから、伊平は裏口からずっと通って、茶の間になっている六畳の縁の前に立つと、御新造のお米は透かし視て声をかけた。
「おや、伊平か。早かったね。」
「はい。」
「なんだか息を切っているようだが、途中でどうかしたのかえ。」
「はい。どうも途中で飛んだことがござりまして……。」と、伊平は気味の悪い持ち物を縁側におろした。
「実はこの西瓜が……。」
「その西瓜がどうしたの。」
「はい。」
伊平はなにか口ごもっているので、お米も少し焦れったくなったらしい、行燈の前を離れて縁側へ出て来た。
「そうして、湯島へ行って来たの。」
「いえ、湯島のお屋敷へは参りませんでした。」
「なぜ行かないんだえ。」
訳を知らないお米はいよいよ焦れて、自分の眼のまえに置いてある風呂敷づつみに手をかけた。
「実はその西瓜が……。」と、伊平は同じようなことを繰返していた。
「だからさ。この西瓜がどうしたというんだよ。」
言いながらお米は念のために風呂敷をあけると、たちまちに驚きの声をあげた。伊平も叫んだ。西瓜は再び女の生首と変っているのである。
「何だってお前、こんなもの持って来たのだえ。」
さすがは武家の女房である。