Classiques japonais avec furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lisez 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 507 caractères · 291 écrans
少しは飲めるといいんだが……。」と、山岸は何か考えるように言いました。「この二、三年来、なんとかして飲めるようになりたいと思って、ずいぶん勉強してみたんですがね。どうしても駄目ですよ。」
飲めない酒をなぜ無理に飲もうとするのかと、年の若い私はすこしおかしくなりました。その笑い顔をながめながら、山岸はやはり子細ありそうに溜息をつきました。
「いや、君なぞは勿論飲まない方がいいですよ。しかし私なぞは少し飲めるといいんだが……。」と、彼は繰返して言いましたが、やがて又俄かに笑い出しました。「なぜといって……。少しは酒を飲まないと伊佐子さんに嫌われるんでね。ははははは。」
山岸の方はどうだか知らないが、伊佐子さんがとにかく彼に接近したがって、いわゆる秋波を送っているらしいのは、他の止宿人もみな認めているのでした。堀川の家では、伊佐子さんが姉で、京都へ行っている長男は弟だそうです。伊佐子さんは廿一の年に他へ縁付いたのですが、その翌年に夫が病死したので、再び実家へ戻って来て、それからむなしく七、八年を送っているという気の毒な身の上であることを、わたし達も薄々知っていました。