Classiques japonais avec furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lisez 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 507 caractères · 291 écrans
町の方へ行こうか、岡の方へ行こうかと、途中で立ちどまって思案しているうちに、ふと思いついたのは、かの小袋ヶ岡の一件だ。そこがどんな所であるかは勿論知っているが、近頃そんな問題を引起すについては、土地の様子がどんなに変っているかという事を知りたくもなったので、ついふらふらとその方面へ足を向けることになった。こうなると、僕もやはり一種の好奇心に駆られていることは否まれないようだ。
うしろの方には小高い岡がいくつも続いているが、問題の小袋ヶ岡は前にもいった通りのわけで、ほとんど平地といってもいいくらいだ。栗の林は依然として茂っている。やがて梅雨になれば、その花が一面にこぼれることを想像しながら、やや爪先あがりの細い路をたどって行くと、林のあいだから一人の若い女のすがたが現われた。だんだん近寄ると、相手は僕の顔をみて少し驚いたように挨拶した。
女は町の肥料商――ゆうべこの小袋ヶ岡の一件を言い出したあの山木という人の娘で、八年前に見た時にはまだ小学校へ通っていたらしかったが、高松あたりの女学校を去年卒業して、ことしはもう二十歳になるとか聞いていた。どちらかといえば大柄の、色の白い、眉の形のいい、別に取立てていうほどの容貌ではないが、こちらでは十人並として立派に通用する女で、名はお辰、当世風にいえば辰子で、本来なら