Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lisez 痴人の愛 (ちじんのあい) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 179 399 caractères · 353 écrans

Aozora Bunko

―――」

「あの時の君の話だと、ナオミを自由にしているものは熊谷だと云う―――」

「ええ、そうでした、僕はあの時そう云いました。尤もそれは嘘じゃないので、ナオミさんと熊谷とはガサツな所が性に合ったのか、一番仲よくしていました。だから誰よりも熊谷が巨魁だ。悪いことはみんな彼奴が教えるんだと思ったので、ああ云う風に云ったのですが、まさかそれ以上は、あなたに云えなかったんですよ。まだあの時は、あなたがナオミさんを捨てないように、そして善良な方面へ導いておやりになるようにと、祈っていたのですから」

「それが導くどころじゃない、却って此方が引き摺られて行っちまったんだから、―――」

「ナオミさんに懸った日には、どんな男でもそうなりまさあ」

「あの女には不思議な魔力があるんですな」

「確かにあれは魔力ですなあ! 僕もそれを感じたから、もうあの人には近寄るべからず、近寄ったらば、此方が危いと悟ったんです。―――」

ナオミ、ナオミ、―――互の間にその名が幾度繰り返されたか知れませんでした。二人はその名を酒の肴にして飲みました。その滑かな発音を、牛肉よりも一層旨い食物のように、舌で味わい、唾液で舐り、そして唇に上せました。