Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lisez 痴人の愛 (ちじんのあい) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 179 399 caractères · 353 écrans
二十六
「今夜はちょっと本を二三冊取りに来ただけなの。まさかあたしが、大きな荷物を一度に背負って行かれやしないわ。おまけにこんななりをしていて」
私の鼻は、その時何処かで嗅いだことのあるほのかな匂を感じました。ああこの匂、………海の彼方の国々や、世にも妙なる異国の花園を想い出させるような匂、………これはいつぞや、ダンスの教授のシュレムスカヤ伯爵夫人、………あの人の肌から匂った匂だ。ナオミはあれと同じ香水を着けているのだ。………
私はナオミが何と云っても、ただ「うんうん」と頷いただけでした。彼女の姿が再び夜の闇に消えてしまっても、まだ部屋の中に漂いつつ次第にうすれて行く匂を、幻を趁うように鋭い嗅覚で趁いかけながら。………
二十六
読者諸君、諸君は既に前回までのいきさつのうちに、私とナオミとが間もなく撚りを戻すようになることを、―――それが不思議でも何でもない、当然の成り行きであることを、予想されたでありましょう。そうして事実、結果は諸君の予想通りになったのですが、しかしそうなってしまうまでには思いの外に手数が懸って、私はいろいろ馬鹿な目を見たり、無駄な骨折りをしたりしました。