Classiques japonais avec furigana
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ひゃくしょうやのすけのはなし
百姓弥之助の話
中里 介山
Lisez 百姓弥之助の話 (ひゃくしょうやのすけのはなし) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 621 caractères · 99 écrans
第一冊の序文
人間世界第一の長篇小説「大菩薩峠」の著者は今回また新たなる長篇小説「百姓弥之助の話」を人間世界に出す。
「百姓弥之助」は日本帝国の忠実なる一平民に過ぎない、全く忠実なる一平民以上でも無ければ以下でもない、この男は日本の国に於て義務教育程度の学校教育だけは与えられている、それ以上の学校教育なるものの恩恵は与えられていない、貧乏と、貧乏から来る内外の体験は厭というほど嘗めさせられているけれども、社会的に人外の差別待遇を蒙るほどの悪視酷遇は受けていない、宗教的には極重罪悪下々凡々の一肉塊に過ぎないが、法律的には未だ前科の極印を打たれた覚えも無い、どうやら人の厄介にならず生きて行けるだけで、人の為に尽そうとしても尽し得る余力が無いのは遺憾きわまりが無いが、如何とも致し難い、官禄の一銭も身に受けていないし、名誉職の一端を荷うほどの器量も無い、ただ一町歩の畑と一町五畝の山林の所有者で、百姓としては珍しく書を読むことと、正道に物を視るだけが取柄である。
「百姓弥之助の話」はこの男が、僅かに一町歩の天地の間から見た森羅万象の記録である、これこそ真に「葭の蕊から天上のぞく」