Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
めをひらく
眼を開く
夢野 久作
Lisez 眼を開く (めをひらく) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 759 caractères · 20 écrans
時々ドドーオオン、ドドーオンという遠雷のような音が聞こえて来るのは、どこかの峯の雪崩れの音であったろうか。
しかし私にはソンナ物音を聞き分けてみるなぞいう心の余裕が、いつの間にか無くなっていた。
私は間もなく雪の岨道を歩く困難が、想像のほかであることを思い知り初めた。その新しく辷り落ちて来た軽い、深い粉末の堆積の中に落ち込み落ち込み、掻き分け掻き分け進んで行くうちに瞼がヒリヒリと痛くなり、鼻の穴がシクシクと疼き出し、息も絶え絶えになって一と休みすると、忽ち零下何度の酷寒を感じ初めるので、又も匐うようにして歩き出す苦しみは、経験のある人でなければわからない。
私はとうとう向うへ行く勇気も、後へ引返す元気も全く無くなって、雪の中へ半身を斜めに埋めたまま、あたりの真白な、荘厳を極めた樹氷を見まわした。そうして心の底から死の戦慄を感じながら、半泣きになって叫んでみた。
「おおおおお――いいい」
「…………オオオ…………」
それは谷々の反響であったか、人間の返答であったかわからない、遠い微かな声であった。私は又叫んだ。
「おおおおお――いいいイ」
「オオオ――イイイ」