Classiques japonais avec furigana
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いしべいゆうれい
石塀幽霊
大阪 圭吉
Lisez 石塀幽霊 (いしべいゆうれい) de 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 907 caractères · 26 écrans
そして司法主任は、双生児の指紋と、押収した兇器の柄に残された指紋との照合による最後の決定を下すために、警視庁の鑑識課へ向けて部下の一人を急がした。
三
さて、一方足跡の番人を仰せつかった新米の蜂須賀巡査は、奉職してから初めての殺人事件に、もう一番手柄を立てたかと思うと、内心少からぬ満足で、こうなるとそろそろ商売は可愛らしく、後手を組んで盛んに合点しながら、足跡の線をあちらへブラリこちらへブラリと歩き廻っていた。
こうして研究してみると、足跡などもなかなか面白い。例えば――、蜂須賀巡査は勝手口の小門の近くに屈み込んで、庭下駄の跡に踏みつけられた一枚の桃色の散広告を見ながら考えた。――例えば、この広告ビラは、小門の方を向いた庭下駄の跡に踏みつけられているのだから、庭下駄の主が庭の植込から出て来て、この小門を脱け出て行く際に踏みつけられたものに違いない。――ふむ。カフェーの広告だな。ルパン……ルパン? はて、聞いたことのある名だぞ?……
何に気づいたのか、急に蜂須賀巡査は立ちあがった。そして額口に激しい困惑の色を浮べながら、暫くじっと立止っていたが、やがて訊問をすまして台所へ出て来た女中のキミを見ると、歩みよって声をかけた。