Classiques japonais avec furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lisez 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 105 803 caractères · 213 écrans
山駕籠の引き戸が開いている。華子がそこから覗いている。景色を眺めているのだろう。傍に引き添ったのは集五郎で、旅の装いを凝らしている。
人数にして三十人あまり、同じ方角へ歩いて行く。
「はたして目付かるでございましょうか?」こう云ったのは集五郎であった。何んとなく不安な様子がある。
「たしかに目付かると思うがね」こう云ったのは華子であった。だがやっぱりどことなく、不安な様子を見せていた。「山尼の居場所を見付けるのは、大して困難ではないのだよ。目付けた後が困難なのさ。つまり取られた永生の蝶を、取り返すのが困難なのさ」
「ひどい目に逢ったというもので」こう云うと集五郎は苦笑をした。「やっと捕えた一匹の蝶を、横取りされたのでございますからな」
すると今度は冷泉華子が、苦笑を口もとへ浮かべたが、「妾のニラミに狂いがなければ、永生の蝶を取られたより、桔梗という娘を取られた方が、お前さんにとっては苦痛のようで」
これには集五郎も参ったようであった。
「率直に申せばその通りで、あれは残念でございましたよ。が、それにしても何用あって、永生の蝶や桔梗という娘を、あの不思議な山尼達は、横取って行ったのでございましょう」