Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まつりのよる
祭りの夜
豊島 与志雄
Lisez 祭りの夜 (まつりのよる) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 781 caractères · 20 écrans
もう枕も、何の跡かたも、そこにはなかった。然し、あれは夢ではなかったのだ。
二枚重ねのふっくらした布団の中で、そんなのに久しく馴れない私は体をもてあつかいかねた。ばかりでなく、如何に残酷に弄ばれてしまったことか。彼女はしばしば、くくくくと忍び笑いをしたようだった。
彼女は或る坊さんの話を、私に囁ききかせた。――その坊さんは、花柳地の料理屋などによく酒を飲みに来た。彼女もひいきになった。この節はお坊さんも開けなすったのね、と言うと、彼は朗かに笑った。――君たちは葷酒山門ニ入ルヲ許サズということを、知っているか。葷酒が山門にはいったら、すべて汚れてしまう。だが、山門の外でなら、酒を飲もうと、不浄を味わうと、堕落にはならない。そうした理屈だ。君たちも、山門の貞操観があったら、男を山門の中に立ち入らせてはいけない。
猥談めいたことだが、それを彼女の言葉に飜訳すれば、猥談とはならない。
「ねえ、あんたとは、いつまでも、清くしていたいの。」
芸者あがりの彼女に、いつから、そんな信念が出来たのであろうか。或はそれも、私に対してだけのことだったのであろうか。とにかく私は、そのばかげた山門の壁に頭をぶっつけた。