Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(三) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 222 108 caractères · 446 écrans
「正季どのは、そこか。正季どのは、おいでないか」
しかし、彼方の音響は、何百人もの声を交じえ他念もない。彼は、呼ぶのをやめて、一つの坂道を喘ぎかけた。すると上で見ていたのか、正季の姿が駈け下りて来た。そして二人とも、どこかへ隠れた。
彼は、摂津から来た正成の伝令だった。その指令の結果にちがいない。
まもなく、正季は、多聞寺の内に、久子をたずねて、
「兄正成殿から、火急、軍勢をつれて、四天王寺へ参会せよとの、急命がございました。留守もしばらくの間です。ここはお動きなされますな」
と、暇を告げて出て行った。
千早、赤坂のほか、国見、猫背山、金胎寺などの峰々でも、同時の砦工事が急がれていたのである。それらの各所からも兵を引き抜いて、正季は、三百余名の兵を合せ、
「何かは知れぬが、戦機らしいぞ。四天王寺まで、夜を通せ」
と、当日のうちに、河内野を西へ、一陣、急ぎに急いでいた。
そして、真夜半すぎ。
平野街道へかかると、南の百舌野方面から来る百人足らずの、一小隊にぶつかった。
「敵か?」
相互が猜疑して、ねめ合った。
これまでには、六波羅の川番所や、鎌倉方の地頭領も当然、駈け抜けていたわけだから「すわ」