Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lisez 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 116 638 caractères · 233 écrans
「義詮は都の留守せよ」
十一月十四日、尊氏は、ひがしへ立った。
細川顕氏と仁木頼章を義詮のため都に残し、あとにも兵をおいたので、その軍勢は多くなかった。今川の入道心省、畠山阿波守兄弟、武田陸奥守、二階堂山城ノ判官、千葉ノ介など七、八千をこえていず、とうてい、勝算があるものとは見えなかった。
しかし伊吹では、佐々木道誉が兵五千を擁して加わった。がぜん、万を超えたのである。尊氏に次いで道誉の姿は精彩を放った。海道の日和見武士のうちには、道誉の参陣を見てから寄って来たものもある。彼の向背にさえ注意していればおのずから勝目の孰れかが分ると自己の去就の卜としている武族も近ごろは多かったのだ。
一面、信濃方面では。
信濃の小笠原政長が、直義の鎌倉入りを途上に妨げ、もう合戦に入っていた。
その政長の軍は、吉良満貞を討って海道へ伸び、佐夜の中山でもまた、直義の先手上杉憲顕を打ち破った。
「よしっ、幸先は上々!」
尊氏は言った。敵は弟である。どうして昂然とよろこべるのか。しかしもう自己を疑うゆとりはない。勝つことだけがすべてであった。陣は駿河の手越に入った。すると駅路での噂だった。