Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lisez 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 116 638 caractères · 233 écrans

Aozora Bunko

お目にかからぬうちから、とうに明石の検校のお名は伺っておりましたものの」

「してただいま、お夫婦は」

「修業のかいもありましてか、大和の結崎に田楽能の一座を開き、春日、法隆寺、東大寺などの仏会神事の催しごとも預かって、どうやら結崎一流の能舞を打ち創て得ようかと、なお工夫の途中にござりまする。そしてその望みは、これなる若年のせがれにかけておりますようなわけで」

「お。御子息よな」

やや離れて控えていたその若者は、検校がさぐる面へ向って、急ぎ両手をつかえていた。

その日、卯木夫婦が連れていた若者は、幼名を観世丸といっていたが、やがて観世を姓に直して、まだ二十五の若手ながら、大和結崎座の観世清次と、未来を嘱望されている者だった。

「ほう」

覚一は、おどろいたふうである。

「では、近ごろよう評判を承る観世清次とは、おふたりの仲の御子息であったのか」

「まだ未熟者にすぎませぬ。どうぞこれからはお引立てを」

はれがましそうに、夫婦は子に代ってそう言った。

そしてなお子を語る親心の問わず語りがつい続いた。住吉の浜でお会いしたときは、まだ清次は生まれていず、そのせつ妊娠っていた子も流産したので、長谷の観音へ祈願をこめて、初めて得たのがこの子であり、そこで幼名も観世丸と名づけたものであったという。