Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lisez 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 116 638 caractères · 233 écrans

Aozora Bunko

だが、この日の朝は、抱きもせずに、すぐ去った。その良人の翳に登子も気づくものはあったが、だまっていた。訊かないのが、むしろ、武家家庭では慣いであった。

鶴姫のあどけない顔までが、今朝の尊氏には、なにか哀しいものに見えたのだった。それと後醍醐の死とはなんのかかわりもないはずなのに、尊氏には不気味な同じ生きものの呼吸に見えた。そして朝食もとらずにすぐ政所へ出てゆくと、そこには細川顕氏らも出仕していて、直義を中心に、異様なまでの緊張と、かくしきれない僥倖感とを、ひそひそ、ささやきあっていた。

「大御所さま。つづいての早打ちがいま入りました」

その声の弾みでも、師直がいおうとする所は、すぐ分った。

「やはり虚報でないのか」

「されば崩御は過ぐる十六日の夜と、ただいま、確たる報なので」

「そうか」

と、深くうめいたままの尊氏へ、直義もまた言った。

「もう疑う余地はございません。吉野の行宮は暗夜にともし灯を失った思いでございましょう。これにて諸国の南党も枢軸を失い、まずは天下の事も定まったといえましょうか」

尊氏は、それに返辞をしなかった。そして、まったくべつなことを、三名に言い渡した。