Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lisez 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 598 caractères · 254 écrans

Aozora Bunko

母屋の客は、長かった。

卯木は、二度も茶を運んで行った。茶は、まだ稀品であり、めったに、雑人の家では用いもしなかった。で、長屋のてまえ、

「なにしろ良人は、酒一ついただきませんので」

と、言いわけしていた。

今も、店の客へ出した後を、元成の仕事机のそばで、夫婦は、静かに味わいながら、話していた。

「どんな人だえ。お客とは」

「おひとりの、志津三郎兼氏さまは五十二、三の方で。もう一と方は、後藤助光さまとやら、まだ、お若う見えますが」

「どちらも、有名な刀鍛冶。名だけは、わしも聞いている」

「なんでも、鳶七さんを相手に、たいそうな数の、よろい具足を、御註文のようでございますよ」

「へえ、刀鍛冶がね?」

「何しろ、数は多いし、日限は短いしと、鳶七さんは戸惑いと、ほくほく顔で、おかしい程でございますの」

「卯木……」

ふと、風に舞いかける描きかけの彫金下絵へ、文鎮を圧いて、元成は声を沈めた。

「ここへ来て、いつか一年近くになるが、どうもまだ、わしには腑におちぬことが多い。柳斎どのにも、いぶかしいことだらけだ」

「でも、あのお方がいなかったら、私たちは」

「それやあ、わしたちには、文句なしにいいお人だし、気のさくい親切者だが」