Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lisez 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 598 caractères · 254 écrans

Aozora Bunko

彼らの放言には、しばしば怖ろしいことばが飛び出る。

それから察するに。――この一と組は、日ごろ“宮方”と称えて、幕府に叛意をいだいている近畿の郷士どもらしい。さかんに、

「男山へ」とか、

「同志が」

とかいっているから、都の変と聞いて、宮闕の安危を案じる面々が、このほかにも各地から、男山八幡の山上へでも集まって、何かの策に出ようとするものらしく思われる。

舟莚のすみで、聞くともなく聞いていた覚一は、折々、体にかかる飛沫の寒さにも慄えて、唇を白くしていた。

「……お母さま」と、声をひそめて、

「あの衆のいうのを聞けば、今にも、合戦になりそうですよ。帰れるでしょうか、都の内へ」

「まさか」

尼は、しいてホホ笑んだ。

「そんな滅多なことが、俄にあってよいものかいの。もし、戦が起ったら、嵯峨の奥へでも、母子して隠れようぞえ。取り越し苦労はせぬがよい」

しかし、覚一のおぞましい予感は、その日もまだ陽の高いうち、眼前に現われた。

それは高槻を過ぎたせつな。

左岸の深い芦波のうちから、とつぜん、小旗を立てた三、四隻の速舟が、こなたの淀川舟をめがけて漕ぎ進んで来た。――待てっ、と何度となく呼ぶ声もただではない。