Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lisez 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 598 caractères · 254 écrans

Aozora Bunko

ついに、力つきて、

「む、むねん!」

仰向けざまに仆れた俊基の胸の上に、息あらあら誇っている虎ヒゲ面を近々と、彼も見た。――一瞬、彼は眼をふさいだ。――静かに死へ委せうる自身となるのを待つような――つかの間だった。

「獄吏、手をゆるめい。ゆるめろ、寸時」

「ば、ばかな」

「いや、逃げはせぬ。……ここははや、承明門のそば。お上のお座所にも間近だ。おそれおおい。頼む。しずかにしてくれい」

「なに、もう逃げぬというか。よしっ。それがまことなら」

鬼六は勝ちを誇った。俊基の装束の石帯をつかんで引き起すやいな、またすばやく、その利腕をねじ上げて、

「こう来いっ」

ずずずッ――と地を引きずるばかりにして、百歩ほど駈け出した。

だが、これは鬼六が、みかどのお座所ぢかくなることを畏れ憚ッての業などではない。余りに御苑の深くまで来てしまったため、部下の影はどこにも見当らなくなっていた。そこで「――おういッ」と、四方へ大きく呼んだものである。

すると、たちまち、鬼六の所在を知って、四方からわらわらと部下の捕兵が大勢駈け寄って来た。そして、俊基の姿を見るや口々に、騒めきあった。