Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lisez 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 598 caractères · 254 écrans

Aozora Bunko

「…………」

「わしも、女への供養に、恋のざんげを、恥もなくお物語りいたそうほどに、お夫婦も、なぜ日蔭者めかしゅう、こんなところに、うらぶれておわすのか、そこを、お打ち明けなされまいか」

兼好は、こういって、自分の出家の動機やら、女の思い出を、むしろ愉しげに、語り出した。

女は、中宮仕えの少弁ノ局といい、伊賀の権守橘ノ成忠の娘だった。

まだその頃、北面伺候の二十六、七の若武士にすぎなかった卜部兼好には、それが初恋だった。火となって、女の許へ通った。

女の父は、よろこばない。一北面の下などへ、嫁がす気はないのである。

宮を退げて、娘の身を、深草の辺に隠した。――が、その深草へも通いつめて、

衣打つ夜寒の袖や

しぼるらむ

あかつき露の

深草の里

などと、彼は自分を歌って、自分を哀しがった。

女の父は、狂恋の彼に、おぞ毛をふるッて、ついに娘を、自領の伊賀の田舎へ移してしまった。――兼好が北面を辞して、姿を消したのも、その直後である。

だが、ついに女とは、二度と会えなかった。悲観の余り、彼は幾年となく自暴の姿で、東国をさすらい歩いた。――再び召されて、後宇多の院御所にお仕えしたのは、十年もたった後であった。