Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lisez 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 598 caractères · 254 écrans
「……だめだのう、もう」
「そんなことはありません。お心づよく、この豊麻呂をお頼みくださいまし」
「其許の心は信じているが」
いううちにも、ここの屋根にまで、ばらばら石の雨が降っていた。当然、それはすでに、出屋敷の構内へ、はや六波羅の手が混み入っていることを教えているものだった。
「……菊王も、頼春もまだ帰らず、捕吏どもは、わしを搦めぬうちはここを退くまい。さて、どうしたものか」
「いやいや、石川の父の太夫も、この御難儀を、坐視しているはずはありませぬ」
「月の空から、石が降る世の中だ。なかなか人の心もさだかでない」
「父の散所ノ太夫を、二心の者と、お疑いなされますか」
「ではないが、身に帯ぶる、みかどの綸旨が気がかりなのだ。身は、いかにともなれ、万一綸旨が六波羅の手になど渡らば、こたびこそは、正中ノ二の舞ぐらいな騒ぎでは事すまぬ」
「あっ。ここもはや」
豊麻呂は急に、彼の手をとって、外へ出た。
そして、駈け乱れる跫音のすきに、彼方の土倉の一つへ駈けた。俊基の身を、内へ隠して、彼自身は、倉の外に、太刀の鐺を反らして立った。
味噌倉か。塩カビの香のつよい闇が、べっとりと、肌にひたつく。