Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ちちぶのけいこくび

秩父の渓谷美

木暮 理太郎

Lisez 秩父の渓谷美 (ちちぶのけいこくび) de 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 963 caractères · 10 écrans

Aozora Bunko

甲武信岳の頂上から東の谷に向って驀地に下り込むと、間もなく真ノ沢の水源に達する。河床は花崗岩の一枚岩であることは、釜沢や信州沢と同様であるが、この岩は水垢が多いので能く滑る。少しも油断はならない。これから木賊谷の合流点迄は、幾つかの瀑があり淵があっても、河床を辿って難なく下れる。谷の姿態は東沢に較べて、大に劣っているけれども、森林の美に至っては東沢といえども能く及ぶ所ではない。木賊谷の合流点から三町許り下った所に有名な木賊瀑が懸っている。上下二段を合せて二十丈を下らないであろうが、周囲が狭く、全容を仰ぎ見ることを得ないのは遺憾である。

入川谷の深林美を俯瞰する地点として、両門岩に比す可きものに、十文字峠途上の白妙岩がある。入川谷の支流赤沢の谷を埋むる闊葉樹の深林を脚下に眺め、南方破風山から甲武信、三宝の二山に亙る針闊混淆林、針葉樹林と、帯のように整然たる深林を見渡したる見事さ。これにも増して更に入川谷の全景観を支配する場所は、股ノ沢の岩峰である。真ノ沢は其右から股ノ沢は其左から来て、岩峰の東正面直下で合流してから、多少の曲折はあっても、殆ど一直線に走る谷筋を縦に眺めて、栃本の森までも達する視界の広さは、他に比す可きものがない。