Classiques japonais avec furigana
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はしがき
童話集 春
竹久 夢二
Lisez 童話集 春 (はしがき) de 竹久 夢二 (たけひさゆめじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 43 531 caractères · 97 écrans
日輪草
三宅坂の水揚ポンプのわきに、一本の日輪草が咲いていました。
「こんな所に日輪草が咲くとは、不思議じゃあありませんか」
そこを通る人達は、寺内将軍の銅像には気がつかない人でさえ、きっとこの花を見つけて、そう言合いました。
熊吉という水撒人夫がありました。お役所の紋のついた青い水撒車を引張って、毎日半蔵門の方から永田町へかけて、水を撒いて歩くのが、熊さんの仕事でした。
熊さんがこうして、毎日水を撒いてくれるから、この街筋の家では安心して、風を入れるために、障子を明けることも出来るし、学校の生徒たちも、窓を明けておいてお弁当を食べることが出来るのでした。
熊さんは、情深い男でしたから、道の傍の草一本にも気をつけて、労わるたちでした。
熊さんはある時、自分の仕事場の三宅坂の水揚ポンプの傍に、一本の草の芽が生えたのを見つけました。熊さんは朝晩その草の芽に水をやることを忘れませんでした。可愛いい芽は一日一日と育ってゆきました。青い丸爪のような葉が、日光のなかへ手をひろげたのは、それから間もないことでした。風が吹いても、倒れないように、熊さんは、竹の棒をたててやりました。