Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
わらうあくま
笑う悪魔
野村 胡堂
Lisez 笑う悪魔 (わらうあくま) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 687 caractères · 55 écrans
「兄貴は東京一番の御馳走にあり付いて居るよ」
千種十次郎を兄貴という早坂勇も、もう三十近い働き者で、昔は「足で種を採るから」足の勇と異名を取った男でしたが、今では若い乍ら東京ポストの社会部では良い顔で、時には千種十次郎の代りに、若い外交記者にも指図をし、手の足りない田舎版位の編輯は手伝って居るのでした。
「そいつは聞捨てならない、何処の売出しの披露だ」
「兄貴がそんな間抜けな御馳走を喰うかな、今夜のは同郷の大先輩、熊谷財閥のオン大、熊谷三郎兵衛の誕生祝の御座敷だよ」
「そいつは気が詰るだろうな」
「此方が新聞記者だ、大臣大将が束で来ても屍とも思わない位の修行を積んで居るが、その座敷はたった一人、兄貴をワクワクさせる相手が居るんだよ」
早坂勇は原稿を整理して居る筆を投り出して、何時の間にやら虎井満十の相手になって居るのでした。
虎井満十は呑ん平で喧嘩早くて、始末の悪い男には相違ありませんが、正直で感がよくて、特種取りの名人で、新聞記者としては、東京で何人と言われた腕達者だったのです。
新聞記者のヒネたのには、よく斯んな途方もない人間が居りました。虚無的でダラしが無くて、箸にも棒にもかからないようで、そのくせ純情的で正義感が強くて、悪の摘発のためには、どんな艱難でも、笑って押し切ってやろうと言った肌合の人間です。