Classiques japonais avec furigana
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こうもうけいせい
紅毛傾城
小栗 虫太郎
Lisez 紅毛傾城 (こうもうけいせい) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 403 caractères · 50 écrans
また、慈悲太郎の肩に現われた父の手も、どうやら錯覚らしく思われてきた。
というのは、白い地に、黄色い波形のものを置いて、その上を、紗のようなものでかぶせると、取り去ったとき、かえって残像が、白地のほうに現われて黒く見えるのである。
また、それには、光のずれのことなども考えられるので、あの時、指のひしゃげつぶれた、父の掌と思ったものも、蓋を割ると、案外たわいのない錯覚なのではなかったろうか。
と、フローラは、皮質をもみ脳漿を絞り尽くして、ようやく仮説を組み上げたけれども、昨夜見た父の腕だけは、どう説き解しようもないのだった。
彼女は、一夜のうちに若さを失ってしまい、罪の重荷を、ひしと身に感じた。そして何もかも紅琴に打ち明けて、彼女の裁きを受けようと決心した。
「そういうわけで奥方様、私は、基督様の御名など、口には出せぬ罪人なのでございます、横蔵様のときも、慈悲太郎様のときも――アレウート号に起こった、悪疫の因がそもそもではございますが――実は私、蝋燭の芯の中に砒石を混ぜておいたのです。そして、立ち上がる砒の蒸気で、数多の人の命を削ってまいりました。