Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぜつえんたい

絶縁体

豊島 与志雄

Lisez 絶縁体 (ぜつえんたい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 752 caractères · 38 écrans

Aozora Bunko

ただ霊前に線香は立てた。葬儀屋が持ってきた位牌に、自分で筆を執って、市木弘子霊位と書いた。それから花屋に出かけてゆき、色とりどりの美しい生花を一対買った。が他人からの供物は一切断って、押し返した。香奠の包みはとにかく、線香とか菓子とかいう物品は、本人に持ち帰って貰うわけにはゆかず、私が大骨を折って説得し、それだけは納めさせた。火葬場へは自分一人が行けば充分だと言い、漸く私だけ同行を許された。つまり、凡てが出来る限り簡単に明確に取り行われた。

それが済むと、深閑とした日々が市木さんに続いたようだった。そして十日ばかりたって、例の竹垣を跨いで私が行ってみると、市木さんは座敷の床の間を指し示した。そこの小机の上の、位牌と線香立とのわきに、香奠の包みが二つ置いてあった。故人の女学校の担任の先生からのものと、級友たちからのものだった。

「どうも、多勢には一人ではかないませんな。」

そう言って市木さんは眼玉をぐるりと動かした。先生や生徒たちと応対してる市木さんのことを想像すると、私はなんだか可笑しかった。市木さんは当初、死亡通知など一切出さないと言っていたが、其後思い直して、学校へは通知し、なお数名の親戚知友へ通知状を出したと、弁解するように打ち明けた。