Classiques japonais avec furigana
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じらいやのはなし
綺堂随筆 江戸の思い出
岡本 綺堂
Lisez 綺堂随筆 江戸の思い出 (じらいやのはなし) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 924 caractères · 14 écrans
「もし、旦那。わたくしはまだ外にも隠したものがあります。それは甕に入れて、侍郎橋の水のなかに沈めてありますから、もう一度行ってお取りなさい。」
獄卒はもう彼の云うことを疑わなかったが、侍郎橋も朝から晩まで往来の多いところである。どうしてそれを探しにゆくかと思案していると、囚人は更に教えた。
「あすこは真昼間ゆくに限ります。あなたの家の人が竹籠へ洗濯物を入れて行って、橋の下で洗っている振りをしながら、窃とその甕を探し出して籠に入れる。そうして、その上に洗濯の着物をかぶせて抱えて帰る。そうすれば誰も気がつきますまい。」
「なるほど、お前は悪智慧があるな。」
獄卒は感心して、その云う通りに実行すると、今度も果して甕を見つけ出した。甕には沢山の金銀が這入っていた。獄卒は又よろこんで、しきりに囚人に御馳走をして遣っていると、ある夜更けに囚人が又云った。
「旦那、お願いがございます。今夜わたくしを鳥渡出してくれませんか。」
それは獄卒も承知しなかった。
「飛んでもない。そんなことが出来るものか。」
「いや、決して御心配には及びません。夜のあけるまでには屹と帰って来ます。