Classiques japonais avec furigana
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みどりのめ
緑の芽
佐左木 俊郎
Lisez 緑の芽 (みどりのめ) de 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 815 caractères · 10 écrans
」
松三は、けれども何も言わなかった。――そんなこと、別に腹立てる程のことでもあるまい――そんな表情で飯をかき込んだ。菊枝は、全く済まないことをしたと言うように、そのまま消えてもしまいたいと言うように、ほんのり、顔を赤らめて、息を殺して碗に盛った飯をもてあましていた。
「こんなことは、俺が言わなくたって……松三はなんと思うか知らねえが。俺は、百姓の娘がこんなごっては……」
祖母が横から、祖父の顔を睨むようにして、そして祖父の言葉尻を捉えるように言った。
「そんなこと言ったって、爺つあまや。何しろまだ十六だもの……裁縫習えにもやんねえのだもの、考えで見ればこのわらしも……」
祖母はまず自分自身の哀れなオールライフを涙含ましく思った。
「考えで見れば、可哀想ださ。ほんでも、朝っぱらから、寝床の中で、書物を読んでるなんて、百姓の娘が……」
「学校の先生様になんのだぢゅうもの、何、いがすぺちゃ」と、黙り続けていた継母が突然口を入れた。
松三は食事の間、一言も口をきかなかった。食事が済むと、しかし悠長に煙管をくわえて、何事をおいても、この事を解決してしまわねばならないというような表情で、けれども、全く落ち着き払った態度で……。