Classiques japonais avec furigana
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せいアレキセイじいんのさんげき
聖アレキセイ寺院の惨劇
小栗 虫太郎
Lisez 聖アレキセイ寺院の惨劇 (せいアレキセイじいんのさんげき) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 32 638 caractères · 65 écrans
しかし、その後にラザレフが使ったかもしれません。」
法水は困ったような表情をしたが、すぐ着衣を脱がして屍体の全身を調べ始めた。微かに糞尿を洩らしているだけで、外傷はもちろん軽微な皮下出血の跡さえ見られない。が、腹の胴巻には札らしい形がムックリ盛り上っている。
「これです。」ルキーンは忌々し気に云った。「これがラザレフ唯一の趣味なんですよ。守銭奴です。こいつは。だから、可哀そうなもんですぜ。電燈料を吝んでいるのですから、姉妹二人とも薄暗い石油洋燈の光で、それも、少しでもながくともせば、こいつが大騒ぎなんです。」
屍体の検案を終ると、法水はラザレフの室に入って行った。その室は、礼拝堂の円天井と鐘楼の床に挾まれた空隙を利用しているので、梯状に作られてあった。扉に続いて二坪程の板敷があり、それから梯子で、下の寝室に下りるようになっている。そこには、姉妹の室で見たと同じ採光窓が床にあいていて、その上を太い粗目の金網で覆うてあった。こう云う奇妙な構造と云い、また、この室の存在が外部からは全然想像されないのを見ても、その昔白系華やかなりし頃には、恐らく秘密な使途に当てられていたらしく思われた。