Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はだいろのつき
肌色の月
久生 十蘭
Lisez 肌色の月 (はだいろのつき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 50 706 caractères · 101 écrans
陽があがると靄がはれ、すがすがしい朝になった。湖のむこうの山々の頂が、朝日を受けて火を噴いているように見えた。
久美子はひとりで朝食をすませ、所在なく広間で大池を待っていたが、八時近くになっても起きて来ない。
「どうしたんだろう」
気あたりがする。中二階へあがって行って、ドアをノックした。
「大池さん、まだ、おやすみになっていらっしゃるの」
返事がない。
鍵が鍵穴にさしこんだままになっている。
そっとドアをあけて、部屋をのぞいてみると、寝ているはずの大池の姿はなかった。
「なんだ、そうだったのか」
なかったはずだ。ボートを漕ぎだしたのは大池だったらしい。
そういえば、ボートの中に魚籠のようなものがあった。大池がこのボートで釣りに行くのだろうと思わなかったのが、どうかしている。
それにしても、大池はまだ釣りに耽っているのだろうか。久美子は窓をあけて湖をながめまわした。
朝日が湖面に映って白光のようなハレーションを起している。久美子は眼を細めて、陽の光にきらめく湖面を見まわしているうちに、やっとのことでボートの所在をつかまえた。
「ボートが流れている」
久美子が漕ぎだそうと思っていた湖心のあたりに、乗り手のいない空のボートが、風につれて舳の向きをかえながら、漫然と漂っているのが見えた。