Classiques japonais avec furigana
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かんぞうせんせい
肝臓先生
Lisez 肝臓先生 (かんぞうせんせい) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 194 caractères · 46 écrans
その中でも一番大きい旅館が紫雲閣であるが、そこに宿泊していた傷痍軍人たちにチブスが発生した。軍医がしらべてみると、女中の一人が保菌者とわかり、そこで全従業員を隔離することゝなったのである。
ところが紫雲閣の主人がつらつら打ち見たところ、素人目とは云いながら、女中は顔も不健康とは思われず、動作におかしなところもなくて、どうもチブスらしく思われない。
そこで主人は女中をつれて赤城病院を訪れた。主人はわざとチブスのイキサツを隠して、ただなんとなく様子がすぐれないようだから、徹底的に調べていただきたいと申出たのである。
赤城先生は乞われるままに、シサイに全身を診察した。そして、病気は流行性肝臓炎ひとつだけで、他にどこも悪いところがないと見究めたので、
「しばらく注射と服薬して、食事に気をつけていれば、まちがいなく治りますよ」
と言ってやると、
「そうですか。本当に肝臓だけでしょうか」
紫雲閣の主人は、心配そうというよりも、真剣そのものの顔である。
「たしかに肝臓だけですとも。心配なさることはありません」
「チブスや赤痢ではないでしょうね」
「絶対に大丈夫」
「チブスや赤痢じゃないかと心配したのですよ」