Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
Lisez 自由人 (じゆうじん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 030 caractères · 139 écrans
北村さんは怪訝な眼付きでわたしを見た。
背の高い中国人の給仕が、うす汚れの割烹着をつけて、流暢な日本語をしゃべった。
「お食事なら、うえがあいております。」
「ここでいいわ。」とわたしは北村さんに言った。「ほんのつまみ物でいいの。わたくし、ビールにしようかしら……。」
それだけでも、わたしとしては一生懸命のことだった。でも効果はあった。北村さんは腑におちない顔付きだったが、わたしのビールを大喜びで、自分はウイスキーにした。
背の高い給仕は、やがて、物を運んでくると、思い出したように北村さんに聞いた。
「菅原さん、どうしましたか。まだ帰りませんか。」
北村さんは何か考えている。
「あの人、のんきですね。無籍者ののんきだから、あてがない。」
北村さんは酒のコップで卓上を叩いた。
「もう一杯。」
わたしは眼を見据えて囁いた。
「無籍者って、何ですの。」
「……渾名だろう。」
北村さんはじっとわたしの方を見た。それからもう、菅原さんのことも、この紹興の店のことも、天元社のことも、ちょいちょい話しかけていたのを、すっかり口にしなくなった。わたしは失敗したのだ。あまり真剣になりすぎたため、肝腎なところで北村さんに気付かれてしまったらしい。