Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えんしょ

艶書

山本 周五郎

Lisez 艶書 (えんしょ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 027 caractères · 50 écrans

Aozora Bunko

七重はさっと赤くなった。赤くなりながら両手をうしろへまわし、その手紙のほうは見ずに云った。

「それ、お手紙なのでしょ」

「そうです、ひと口にいえば艶書です。もっとも書いてある文句を信ずればですがね」

「だって」と七重は口ごもった、「信ずればって、どうしてですの」

「だってわかるでしょう」と彼は云った、「私のような部屋住みでくすぶっている人間に、本気で恋文をつけるような者がいるはずはない、ゆうべ来た人たちの誰かの悪戯だと思うんです、あなただってそう思うでしょう」

七重はなにか云いそうにしたが、云いかねたようすで、ただそっと首を振った。

「読んでみてください」と彼は云った、「そうすれば筆癖で誰だかわかるでしょう。わかってもべつにどうもしやあしませんよ、悪戯だということをたしかめればいいんですから」

「いいえ――」七重はうしろへさがった、「わたくしにはできませんわ、そんなこと、わたくしいやでございます」

いちど赤くなった七重の顔が、このとき額のあたりからあおざめ、唇をかみながら、怒りのようなまなざしでこちらを見あげたと思うと、出三郎の呼びとめる暇もなく、身を翻がえすようにして去っていった。