Classiques japonais avec furigana
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えんしょ
艶書
山本 周五郎
Lisez 艶書 (えんしょ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 027 caractères · 50 écrans
出三郎は三日ごとに定高邸へいった。それまでに調べた事項が、半兵衛の要求に合っているかどうか、とくに「土壌」の項に自信がなかったので、その意見が聞きたかったのである。半兵衛は結構だと云った。
「稲田を麦作に使えないかと思ったんだ、稲を苅ったあとの田を、半年も遊ばせておくのはもったいないんでね」半兵衛は彼の調書を見ながら云った、「肥料をべつにして、土質がどうか知りたかったんだが、これでいい、これからもこの方針でやってもらおう」
そうして、ふいにこちらの眼をみつめてから云った。
「艶書のぬしはわかったかね」
出三郎は返辞をせずに調書を片づけた。
明くる年の二月、藩主といっしょに出府するまで、半兵衛はしきりに出三郎を「角万」へつれだした。半兵衛の遊びぶりは相変わらずで、よくいえば豪放というのだろうが、あんまりずけずけと露悪的なので、出三郎はいつも辟易するばかりである。それでなるべく避けようとするが、半兵衛はおもしろがってでもいるようなぐあいで、巧みにつかまえてはつれ出すのであった。
七重の消息はほとんど聞かなかった。いちど「角万」の廊下で笠井忠也に会ったことがある。