Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans
泥棒は、終始、そわそわと、落ちつかず、あたりをきょろきょろ見まわす。足袋跣足で、足ぶみをしきりにして、片時も、じっとしていない。騒いでいるのは、泥棒の方だ。
マンも、一時はおどろいたが、泥棒の様子を見て、まもなく、落ちついた。
ほろ酔いで帰った金五郎が、いつか、これと同じ恰好で、マンをおどかしたことがある。しかし、眼前の泥棒は、夫とは似ても似つかぬ貧弱な体格で、声にも、凄味がない。嗄がれたふるえ声である。もう五十歳を越えた年配かと、推定された。
「お金が要るんですか?」
「あ、あたりまえじゃ。……か、か、……金が要るけん、ど、泥棒に、入ったんじゃ」
「今、あたしとこ、金ありませんわ。夫が、旅行に、財布をさらえて持って行ってしもうたし、……この二三日、仕事もあぶれとるもんで……」
「う、嘘をこくな。は、は、早く、銭を出せ」
「どうしても、要るんですか?」
「どうしても、い、要る」
「困ったわねえ」マンは、ちょっと小首をひねったが、「そんなら、十分ほど、待っとって下さい。借って来てあげますけ」
「まちがうなよ」
「煙草でものんで、一服していらっしゃい」
マンは、立ちあがると、そういい残して、裏口から、出た。