Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

「お京さん、どうしたかね?」

「今ね、考えていたら、つくづく情なくなったの。あたし、ほんとうに力になってくれる男の人って、誰もないのよ。やっぱり、女って、男が頼りね」

しんみりと述懐するお京の眼に、涙さえ浮かんでいるのではないかと思われたが、金五郎の方は、反撥するように、心のなかで、

(なにをいうとるか。あんたほどの女を、誰が放っとくものか。男はうようよ、惚れ手は山ほど、黒い紐、赤い紐、青い紐、紐だらけじゃろうよ)

そんなことを、考えていた。

しかし、口には出さず、

「お京さん」

「あい」

「わたしは部屋住みの主人持ち、仕事の責任もあるもんで、長くは家をあけられん。出来るだけ、早う、願いたんじゃが……」

「ウフフ、おかみさんのところへ、早く帰りたいのとちがうの?」

「女房なんて、どうでも、ええが……」

「どうか知ら……?」

お京は、どうやってみても、金五郎が誘惑に乗って来ないので、あきらめたらしい。

「大体、定法から行くと、彫青が終ってしまうまでは、男女の慾は禁物なのよ。皮膚がたるんだり、脂くさくなったりして、出来上りが不様になるから……」

そんなことをいって、金五郎の警戒心を解こうと努めた。