Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

手拭で鉢巻をして、着物の両肌を脱いだ。満艦飾の提灯の照明の中に、たくましい金五郎の白い肌と、青々とした龍の彫青とが照らし出された。

金五郎は、新之助から借りて来た二本の日本刀を抜き身にして、盥の水に浸けた。チャポ、チャポと、洗った。そして、ときどき、表の夜の暗黒を、ぎょろりとした眼玉をむいて、のぞくように、睨む。

静まりかえった深夜の空気を、刀を洗う水の音だけが、かすかに、ゆるがせる。金五郎は、二本の日本刀を、交互に、盥の中で、ころがしながら、ときどき、水からあげる。雫のたれている冴えかえった刃を、裏表にかえして、しみじみと、眺める。刀の肌に、周囲の提灯が映って、刀身の中で光のゆらめきが、焔の乱舞のようだ。

(美しいなあ)

と、思う。

昔から、刀剣が好きであったが、欲しい刀を買う余裕はなかった。やっと、養子の交換条件で、蜜柑を売ったとき、道後の湯町で、前から眼をつけていた、助広の小刀を手に入れることが出来た。故郷を出奔するとき、それを大事にたずさえて出て、今日まで愛蔵している。しかし、金五郎が刀を愛するのは、その美しい肌を見ていると、乱れた心も澄んで来るからであって、それを殺人の道具と考えたことは、一度もなかった。