Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

或る日、桜見に行った帰り、春の空気をふるわせて、一発の銃声がひびきわたった。弾丸が、金五郎の右耳をはじいて、飛び去った。果物をつつきに群れる鳥を追うため、空鉄砲を放つことは、許されているのである。

金五郎は、耳からふき出る血をおさえ、唇をかんで、さびしそうな顔をした。

或る日の黄昏どき、金五郎は、清七鍛冶屋の店先にあらわれた。

「清ちゃん、いつか頼んだ合鍵な、やっぱり、要ることになったけに、頼むよ」

「よし来た」

蹄鉄を打っていた清七は、金五郎のところに寄って来ると、耳に口を寄せた。

「金坊、お前を鉄砲で撃った奴、おれ、ちゃあんと、知っとるぞな」

「もう、ええ、ええ、放っといてくれ」

「黒石じゃな、お前に、犬神をとりつかせるというとるげなぞ」

「執念ぶかい奴じゃ」

「もう、四日も前から、あの痩犬のクロを、蔵の中に埋けてな、絶食させとる。あたりまえなら、一週間くらいで、犬神を追いだすのじゃが、今度は十日にして、はげしゅう、お前をいびるらしい」

「勝手にさせとけ」

土中に全身を埋めた犬に、永い間、餌をあたえずに置く。飢餓に瀕するのを見て、眼前に、御馳走を見せる。犬はそれが食べたくてたまらない。