Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

廊下の隅に立って、胸のどきつく気持で、耳を傾けた。

部屋の中は、しいんとしている。二人がいるのか、いないのか、障子に明かるい電燈が当っているのが見えるだけ、なんの音も、声もしない。あまり静かなので、後にいるコヨに、

「居るのかね?」

と、小声で訊いた。

「いますとも」

コヨは眼で答えて、しきりにうなずく。

なお、しばらく、静寂がつづいてから、

「僕が、馬鹿だったんだ」

かすれたような勝則の声が聞えた。

「すみません」

光丸の声は細い。

「君だけは信用しとったがなあ。花柳界は嘘の多い世界ということは、知らんこともなかったけど、君だけは、……君までが、嘘をつくとは思わなんだ」

「いいえ」光丸の語調は、切迫して来て、「そんなこと、……あたしが、嘘をついたなんて、いつ、どんな嘘を、……?」

「君には、許婚があったんだ」

「ええ、それはありましたわ」

「どうして、それを隠しとったんだ?」

「そんなこと、無理です。無理やわ。もし、それを話したら、もう、あなたに逢えなくなると思うたとです。あたし、その許婚と一緒になるつもりなら、とっくに、芸者やめてます。その人が嫌いなばっかりに、……そして、あなたとお逢いしたいばっかりに、……こうやって、芸者に出とるとです。